ACTION for Our Futures |「スポーツの新たなる可能性を拓く」フューチャーセッションを体験

皆さん、FUTURE SESSION(フューチャーセッション)をご存知でしょうか?

フューチャーセッションは、最適解のない複雑な問題を解決するために、企業・行政・NPOなどのセクターの壁、組織内の部署の壁、専門分野の壁など、立場の違いを超えた対話により、協調アクションを生み出す場です。 OUR FUTURES

6月6日〜14日がFUTURE SESSION WEEKということで、全国津々浦々で多種多様な事象についてこのフューチャーセッションが行われていたようです。そんな中、僕も知人に誘われ『2025年ポスト東京オリンピック・パラリンピック「スポーツの新たなる可能性を拓く」』というテーマのFUTURE SESSIONに参加して来ました。自分ゴトとしてもかなりタイムリーなテーマで、実質4時間という長時間があっという間に過ぎ去って行きました。

standard_FSW15_title

まず最初に学んだことが『スポーツアクティベーション』という概念。具体的にどんなことかと言うと、スポーツをツールと捉え、そのツールを活用して社会をよくして行きましょう、という考え方。正にこのブログのタイトル『Creating Sport Value』にピッタリの概念です。自分の中でも『ソーシャルイノベーションのツールとしてのスポーツ』と咀嚼することで凄く腑に落ちました。更にこのスポーツアクティベーションの成功体験を発信するSPOZIUM(スポジウム)というメディアが存在することもご紹介しておきます。

さて、今回このフューチャーセッションには、行政、スポンサー、代理店、メディア、競技団体、クラブそして選手などなど様々なセクターのスポーツ関係者30名ほどの方々が参加。組織の枠を超えてあらゆる切り口から対話を深めていったわけですが、立場は違えどスポーツ界にはまだまだ多くの課題があり、超えなければならない壁があることを再認識。

現状の課題に対してひとつひとつの解決策を探して行くという「フォアキャスティング」という思考に終始するのではなく、未来の在るべき姿を設定し、そこから立ち戻って考える「バックキャスティング」というアプローチを執ることがフューチャーセッション最大の特徴でもあります。多様な人たちとの対話の中で生まれて来る「在るべき未来」を想定して、それを実現するためのアクションプランに落とし込むという作業をしていきます。アイデアソンのようなイメージですね。この『未来思考』と呼ばれるアプローチ自体、個人的にはとても勉強になりました。フューチャーセッションの効果についてはこちらの記事をご参照下さい。
フューチャーセッションの効果(ハフィントンポスト 2014年2月20日)

しかし、自分とは違う世界の住人というか、別セクターの方々の話はやっぱり新鮮で刺激的です。ひとつの価値観に囚われがちな日々の中で、新しい価値観に触れるいい機会でした。ひとつの価値観だけで物事を捉えているといずれ限界が来るという危機感も感じつつ、世の中には面白い人がたくさんいるなぁと実感。そういう人たちが少しずつ新しいスポーツの楽しみ方を共有していけば、何か新しいうねりも出来るんじゃないかという期待感も生まれます。
DSC_0272.2

さて、そんなフューチャーセッションで自分の中で生まれたひとつのキーワードが『勝利至上主義からの脱却』。

2025年の日本のスポーツ界を自分の立場で検討するに当たって『競技団体の社会的な価値とは何なのか』ということを改めて考えてみました。勝利することは当然スポーツの価値を高めるための重要な要素のひとつです。先進国として、また2020年オリンピック・パラリンピックホスト国として、勝利だったりメダル獲得という結果が求められるのは宿命だと思いますが、スポーツの価値ってそれが全てではないはずですよね。しかし、まだまだ日本のスポーツ界で競技団体が置かれている立場としては、勝利を基準とした価値評価がされているのも事実だと思います。

一方で、勝利(メダル)至上主義に囚われるスポーツに対して、好意的ではなく冷めた見方をする人が少なくないのも事実です。スポーツ界の中だけで考えていると『スポーツには価値がある』という前提のもとに話が進んで盲目になりがち。スポーツ好きの人たちの価値観だけでその可能性を探っていても限界に来るのは当然な気もします。だからこそスポーツへの支援者を増やすためのイノベーションが必要なのかもしれません。

このブログのコンセプトに沿って考えると

スポーツの価値を社会還元する
→ スポーツへの理解者を増やす
→ スポーツへの支援者が増える
→ 支援者がスポーツの価値を社会還元する …

というサイクルが必要なのではないかと感じています。きっと切り口は他にも色々あると思います。

余談ですが、映画ならアカデミー賞、音楽だったらグラミー賞に代表される文化的価値を高める賞、それから社会的な功績を讃える賞としてはご存知ノーベル賞があります。今回色んなことに考えを巡らせて行く中で、スポーツにもIOCや競技別、リーグ別などでは様々な賞が存在しますが、もっと国際的にスポーツの価値を高めるような賞があっても良いのでは?なんていうことを感じました。が、ちょっと調べていたらSport Accord(スポーツアコード)がThe SportAccord Awardsという賞を展開していることを知りました(また次のネタになりそう)。日本ではまだまだ認知されていない賞ですが、こういうところにも目を向けて行きたいですね。

と、そんなことを考えさせられたFUTURE SESSIONでした!

コメントを残す