SPORT FOR TOMORROW | 国際公約として取り組む日本のスポーツ国際貢献事業

2020年に東京を選ぶとは、オリンピック運動の、ひとつの新しい、力強い推進力を選ぶことを意味します。なぜならば、我々が実施しようとしている「スポーツ・フォー・トゥモロー」という新しいプランのもと、日本の若者は、もっとたくさん、世界へ出て行くからです。- 安倍晋三首相 『IOC総会における安倍総理プレゼンテーション』首相官邸ホームページ

というわけで、今回は東京2020オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンの際に国際公約されたスポーツでの国際貢献事業『スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)』について考えます。SFTは2014年から2020年までの7年間で開発途上国をはじめとする100ヶ国以上・1000万人以上を対象に、スポーツの価値とオリンピック・ムーブメントを広めていくスポーツ国際貢献事業で、①指導者の派遣やイベントの開催などを行う『スポーツを通じた国際協力及び交流』、②国内外のスポーツ界の核となる人材の養成拠点を作る『国際スポーツ人材育成拠点の構築』、③各アンチ・ドーピング機関らと連携した教育プログラムの開発・提供をする『国際的なアンチ・ドーピング体制の強化支援』の3本柱で構成されます。
SPORT FOR TOMORROWとは?
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前回の東京五輪の翌年1965年に青年海外協力隊が発足し、今年で50周年を迎えます。1974年には国際協力機構(JICA)が設立されましたが、以降40年間で実に3000人もの方々が80ヶ国にスポーツ分野で派遣されてきたそうです。当然SFTは、その歴史あるJICAのプログラムとも連携して実施されています。

昨年8月には文科省、外務省が中心となってSFTコンソーシアムが設置され、会員を募集。その会員による国際貢献事業もSFTの活動と認定することで、100ヶ国、1000万人というコミットメントを達成しようという方針だそうです。会員は5月27日時点で64団体とまだまだ認知度が低いことが課題のようですが、皆さんは既にご存知だったでしょうか。個人的には2013年9月7日の2020年オリンピック・パラリンピックの最終プレゼンのときからこの政策が気にはなっていました。前述の安倍晋三首相の国際公約と共に、こちらの映像が非常に印象的でしたね。

さて、そんなSFTですが、認知度が低いという課題だけでなく、「個々の政策が現時点では日本国内には余り恩恵にはならないのでは?」という指摘もあります。(ニューズウィーク日本版 2014/08/20) そこを打破するのが「レガシーとして2020年以降の社会に何を遺せるか?」ということでしょう。

「オリンピック・パラリンピックのレガシーを・・・」という議論もされて久しいですが、東京五輪の最良のモデルとも言うべきロンドン五輪の際には、貧困地域だった東ロンドンの経済活性策や若者のスポーツ振興など国内での課題にも対応しながら、SFTのモデルとも言うべき「International Inspiration」という国際貢献活動が行われていました。2012年までに20ヶ国、1500万人にスポーツプログラムを提供し、当初の目標は達成したそうです。そしてロンドン五輪が終わった現在でもこの活動は継続して行われています。ロンドン五輪のキャッチコピーは「Inspire a Generation(次世代に息吹を)」というもので五輪会場にはこのコピーが溢れていたのですが、こうして改めて考えてみるとコンセプトを端的に表現していたんだなぁと実感します。

さて、ではスポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)という政策を通して、日本ではどんなことを期待すべきなのでしょうか。前述のニューズウィークの記事でも指摘されていましたが、「学校体育」カリキュラムを開発途上国に普及して行くなどの国際協力は理にかなっていますが、一方で、子どもたちの体力・運動能力低下という成熟国家としていま日本が直面している社会課題だったり、自由にスポーツをすることが出来ない被災地の環境などにいかに向き合っていくか、というのも大事だと思います。「外に出る前にまずは国内を」という議論が出て来るのも当然なので、この国際貢献事業を通して国内の課題とも向き合うためのフィードバックをしていくことも重要なポイントとなるはずです。

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さて、国際貢献事業の本質って一体なんなのでしょうか。全くの素人なので、それを少しでも理解するためにちょっと前の話ですが、2015年1月10日にJICA地球ひろばにて行われた国際シンポジウム「スポーツフォートゥモローの未来に向けて」に参加してきました。様々な切り口からスポーツによる国際貢献の話を聞くことが出来ましたが、カルガリー大学のKevin Young教授(スポーツ社会学)の基調講演で印象に残ったのが「その土地での社会背景を知ってそのコミュニティに合った支援をする必要がある。常に誰に対して、誰のためにその活動をするのかを考える。コミュニティが自立するための施策を講じることが大切。」ということ。国際貢献には「ポップコーン型」つまり一度きりの活動と「長期型」があるそうです。JICA青年海外協力隊の活動は「長期型」の好例ですが、実際ほとんどの活動は「ポップコーン型」だと言います。100ヵ国と場所が増えればポップコーン型にならざるを得ません。だからこそ、支援を受けたコミュニティが自立して継続的にスポーツに触れられるような活動をすることが大事なのではないかと考えさせられました。

毎日新聞の記事で青年海外協力協会(JOCA)の小原裕子さんという方のこんなコメントが掲載されていました。

「100カ国、1000万人を達成するだけなら、大規模なスポーツ大会をすればいい。でも、それでは開発途上国に何も残らない。本当のスポーツの価値を届けることを考えないといけない」 毎日新聞2015/06/16

自分で何かアクションを起こした訳ではないので偉そうなことは言えませんが、SFTはオールジャパン体制で臨む素晴らしい政策だからこそ、東京に2020年オリンピック・パラリンピックを招致するためだけのパフォーマンスだったと言われないよう、支援を受けたコミュニティの社会を少しでも変えるような活動になっていくことに期待したいですね。時間はかかっていいし、かかるものだと思います。そして僕自身少しでも力になりたいと思います!

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