World Oceans Day | 「2048年問題」をスポーツ文脈で考えてみた

Photo by Ai Futaki

先週の金曜日は世界環境デーでしたが、週明けの本日はこれまた国連が定める環境関連の記念日「世界海洋デー(World Oceans Day)」です。地球環境問題の中でも海洋保全は、非常に大きなテーマです。昨年の世界海洋デーには、国連のアントニオ・グテーレス事務総長がメッセージを発信し、下記のような内容にも触れています。

海は現在、かつてない脅威にさらされています。過去150年間に、サンゴの生体の約半数が失われました。この40年間に、プラスチックによる海洋汚染は10倍に悪化しました。漁業資源の3分の1は乱獲状態にあります。酸欠海域と呼ばれる、酸素の欠乏で生物が生存できなくなった海底砂漠は、面積と数の両面で急速に広がっています。 – アントニオ・グテーレス(国連事務総長)

今月は環境月間ということで、本日は海洋保全とスポーツの関係について考えたいと思います。

 

「2048年問題」とは?

みなさんは「2048年問題」をご存知でしょうか?

恥ずかしながら僕自身も世界海洋デー関連のことを学ぶことで知ったのですが、2006年にアメリカの科学雑誌「Science」にてDalhousie UniversityのBoris Worm教授率いる研究チームが発表した学説で、人間による海洋汚染がこのまま進めば「2048年には海から食用魚がいなくなる」というショッキングな内容です。

日本財団のこちらの記事では「2050年の海は、魚よりもごみが多くなる」というこちらもショッキングな見出しで警鐘を鳴らしています。上記の国連事務総長の引用でも、プラスチックによる海洋汚染は10倍に悪化したとありますが、環境省の調べによると世界で少なくとも毎年800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているそうです。その量なんとジャンボジェット機5万機分に相当するとのこと。

驚くべきことに、海洋ごみの約8割は私たちが生活する街中でのポイ捨てから流れついたものだと言います。大多数は、釣り糸や食品の容器・包装袋など「使い捨て」のものが多いようですが、こうしたプラスチックを食べてしまったり、釣り糸などに絡まってしまい命を落とす海洋生物も増えています。こうした事実のひとつひとつに衝撃を受けますが、日々の生活の中での少しの配慮で改善できることでもありますね。

そして、この2048年問題をイラストでわかりやすくまとめられているツイートがあったので、こちらもご紹介。

 

環境保全アクティビティ”GreenKayak”

さて、我々人類にとって壮大な課題であるこの2048年問題ですが、スポーツの力で何が出来るのでしょうか?スポーツと海を考えたとき、先日ご紹介したスポGOMIは当然ながら、様々なウォーターツスポーツが思い浮かびます。その中でもまずご紹介したいのが、デンマークのGreenKayak

この団体は、都市部の水路を結ぶモビリティとして、またスポーツとしてのカヤックというアクティビティをごみ拾いと結びつけてしまいました。都市観光という文脈で、カヤックを楽しみながらお客さんが河川や海に浮かぶごみを回収することで海洋保全に一役買っています。スポGOMIさながら、ごみ拾いに”楽しむ”というインセンティブを与えることで、価値観を変換してしまった好事例ですね。

Photo from GreenKayak.org

GreenKayakは、2017年にコペンハーゲンでスタートしたそうです。発案者のTobias Weber-Andersen氏はプロのシーカヤックインストラクターですが、たまたまコペンハーゲン市内の水路でごみを発見し、それを回収したところからスタートします。翌日同じ場所を訪れるとまたごみが。とてもひとりで回収できる量ではないことを悟り、仲間を増やしていったのがこのGreenKayakの発端だったそうです。

より多くの方々に協力してもらうため、ごみを回収すれば無償でカヤックを借りることが出来るというスキームを開発。この活動が広がり、現在ではスポーツで環境保全、更にはツーリズムを融合する可能性を秘めた素晴らしいアクティビティに育て上げています。また、デンマークだけでなく、ドイツ、アイルランド、スウェーデン、ノルウェーの5ヶ国で展開され、これまでに24.3トン以上のごみが回収されています。

気になる運営資金は、GreenKayakに賛同する方々の寄付金とスポンサーで賄っているようです。今後このアクティビティのグローバルでの展開にも注目です。

 

世界海洋デーチャレンジ2020

世界海洋デーには国連の公式ポータル内にて、様々な団体による様々なシンポジウムなどが紹介されていますが、その中で唯一スポーツで紹介されているイニシアチブがWorld Oceans Day Challenge 2020。ウェットスーツ等のウォータースポーツ用品を扱うメーカーVANAV360とボート、カヤック、セーリング、SUP、サーフィン、水泳など様々なウォータースポーツをプロモートする団体Watersports Denmarkによるこの企画は、リモートでウォータースポーツに講じてもらう参加型のチャリティイベントです。

そして、このイベントへの参加費は全てGreenKayakに寄附されるとのこと。このWorld Oceans Day Challenge 2020はオンライン開催なので、世界中どこにいても参加できるというのも、今このタイミングだからこそ出来る試みなのかもしれませんね。

 

海洋問題に取り組むスポーツ・アスリート

オリンピック競技のウォータースポーツの中でも、セーリング、サーフィンと海は切っても切れない関係です。先日ご紹介した通りWorld Sailingは海洋問題に対して非常に高い意識で取り組んでいる団体ですし、サーファーの間では自然との共生という考えがサーフカルチャーの中で根付いています。

Photo from Flickr

また、著名なアスリートによる海洋へのイニシアチブも数多くありますが、個人的に紹介したいのは競泳オリンピック金メダリストのAaron Peirsol氏の活動です。カリフォルニア育ちのPeirsol氏は、幼い頃から水泳と共に海でサーフィンを楽しみ、海の環境保全には高い意識を持っていました。海洋保全団体「Oceana」とパートナーシップを組み、今から10年以上前に「Race for the Ocean」というファンドレイジングイベントを実施しています。

先ほどのWorld Oceans Day Challenge 2020もそうですが、それぞれがゴール設定をするスポーツとファンドレイジングの相性は非常に良いと思います。日本国内でもチャリティマラソンなどが増えて来ていますが、海外と比べればまだまだ少ないのが現状です。今後、スポーツを活用した社会課題に対するファンドレイジングイベントも増やしていきたいですね。

ということで、本日は世界海洋デーにちなんで「2048年問題」という切り口でスポーツの活動をご紹介しました。スポーツ界からのアクションを増やしていくことで、「2048年問題」が杞憂に終わることを祈るばかりです。今月は引き続き、環境関連に触れていきたいと思います!

*ちなみに本日のトップ画像はフリーダイビングで水中表現家の二木あいさんに快く許諾いただき掲載させていただきました!あいさんの数々の素敵な作品はInstagramからどうぞ!

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