Calorie Offset Through Sports | TABLE FOR TWOがスポーツで取り組むカロリーオフセットプログラム

先週の金曜日、埼玉西武ライオンズとTABLE FOR TWO International(TFT)が試合中に選手とファンが消費したカロリーを開発途上国に必要なカロリーを創出する「ライオンズ カロリーオフセットプログラム2015」を7/24〜8/23の15試合で実施することを発表しました。

(C) SEIBU LIONS

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対象期間中に選手が試合で消費したカロリー、西武プリンスドームに来場したファンが応援して消費したカロリーを計算し、集まった寄付金が、TFTを通じて台風被害にあったフィリピン・レイテ島など、開発途上国の菜園づくりなどを通じて農業生産向上の支援やインフラ整備に利用され、自発的にカロリーを生み出すための支援に充てられます。 – ライオンズ カロリーオフセットプログラム2015

ちなみに選手が1試合で消費するカロリーを約2,000キロカロリー、ファンが応援で消費するカロリーを約180キロカロリーと計算し、選手が試合で消費したカロリーを1キロカロリーにつき1円、ファンが応援で消費したカロリーを200キロカロリーにつき1円として換算するそうです。

さて、このニュースをスポーツの文脈で説くと、どうしてもコンテンツホルダーであるライオンズ側に立って進めたくなってしまうところですが、スポーツの価値を客観的に捉える意味で、今回は敢えてTFT側の視点で考えてみたいと思います。

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そもそもTABLE FOR TWO International(TFT)ってどんな組織なんでしょうか。

日本発ソーシャルビジネスの世界では有名なNPO法人で、これまで様々な企業、学校などと連携して34,026,134食(2015年5月末時点)を開発途上国の子どもたちに届けて来た団体です。社員食堂などで指定された通常よりヘルシーな定食を購入すると1食当たり20円の寄付金がTFTを通じて、開発途上国の子どもたちの学校給食になるという仕組みからスタートしました。『余分なカロリーを摂取して肥満化する先進国』と『飢餓や栄養失調で苦しむ開発途上国』という『食の不均衝』という社会課題に双方向からアプローチする仕組みが受け入れられ、参加者を増やしています。

僕も2年ほど前にTFTの存在を知ったのですが、きっかけはTFT代表・小暮真久氏の著書『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』(ダイヤモンド社)でした。何気なく読んだのですが、TFTの生い立ち・取り組みを知ることで、すっかり社会起業というものに魅了されてしまったのを覚えています。

そんなTFTがより多くの学校給食を開発途上国の子どもたちに届けるためにスタートしたのが今回の『カロリーオフセットプログラム』。食堂で特定の定食を購入することだけでなく、カロリーオフセットマークが付いた対象商品の購入やサービスの利用、イベント参加で身体を動かすことによってカロリーをオフセットし、寄附されるという新たなスキームが出来たのです。

(C) SEIBU LIONS

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埼玉西武ライオンズが、夏休みの8試合で、選手とファンが消費したカロリーを開発途上国の農業支援に寄付するプログラムを実施してくださり、大変光栄です。これまでTABLE FOR TWOは、スーパーやフィットネスクラブ、機内食などでカロリーオフセットプログラムを提供してきましたが、スポーツチームの参画は初めてです。試合を観戦し、試合が白熱すればするほどカロリーを消費することができ、開発途上国にカロリーを届けることができます。国民的スポーツである野球の試合を通じて参加できる、世界初の社会貢献プログラム。ご家族の皆さんやお友だちと一緒にたくさんの方にご参加いただけたら嬉しいです。 – 小暮真久氏

さて、それではTFTがスポーツ団体と組むメリットは一体なんなのでしょうか?上記の小暮氏のコメントも鑑みて、大まかに2つのメリットを考えてみました。(もっとあればご意見ください!)

①カロリーオフセットの解釈の拡大
このプログラムが秀逸なのは、なんと言っても食での『カロリーオフセット』から運動での『カロリーオフセット』に解釈の拡大をした点でしょう。するスポーツでも見るスポーツでもカロリーを消費します。そのカロリーが社会貢献に繋がるのであれば、する側にも見る側にも付加価値になるでしょう。既にフィットネスクラブでの導入事例もあるようですが、この解釈の拡大によってスポーツを通じてより多くの人々との大きな接点が出来、寄付金額の増幅も期待できそうです。

②スポーツの持つメディアバリュー
やはりニュースになるというのは大きなポイント。食の不均衝という社会課題への認識を高めること、そしてTFTの活動をより多くの方々に知ってもらうという意味でも、スポーツ団体と組むということの意義は大いにあるはずです。

いずれにしてもTFTのような社会課題に取り組むNPOとスポーツの相性はとても良い気がします。社会課題の内容や質によって、運用の仕方は変わって来ますが、今回の事例のように解釈を拡大することでスポーツ界が自分ゴトにしていくことは可能なのかもしれませんね。そしてこんなかたちでスポーツをうまく活用するNPOも増えると、スポーツ界にも新しい風が吹くのではないかと感じます。

そんなわけで今回は、スポーツと組む側の立場に立って、客観的に見たスポーツの価値を考えてみました。『カロリーオフセット』という切り口は非常に面白いなー、と思い、是非スポーツ界にも広まってほしいと思います!

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